黄昏のビギン


黄昏のビギン
作詞:永六輔/作曲:中村八大/1959年(昭和34年)
編曲:小泉宏

『僕じゃないんです。でも八大さんが「君にしておくね」って言って。八大さんとは早稲田大学の先輩後輩の関係でしょ。だからあの人には反対したりできないんです。何か言われたら、全部「はい」って。それで八大さんは、自分で作詞・作曲をしたから、あれが一番好きなの。だから、「いい歌ですね」なんて言われて、いろいろな人が歌っているんですが、そばに行って「これは僕じゃないんです」って言わないと肩身が狭いというか。(永六輔著「大晩年老いも病いも笑い飛ばす!」中央公論新社より)

1959年の第1回レコード大賞を受賞した水原弘さんの「黒い花びら」に続く、セカンド・シングル「黒い落葉」のB面曲として発売されました。夜の街で火が付き、流しの人のレパートリーとして静かなる名曲、心のスタンダードとして歌い継がれてきました。洋楽のような優雅なメロディーラインで上品な1曲であるとともに、絶品の歌唱で唄われたこの曲は、ちあきなおみさんのカヴァーで再び注目され、日本を代表するスタンダードになっています。

私と水原弘さんとの出会いは大変古いのです。
父が水原弘さんと親友だったこともあり、幼い頃から大変可愛がっていただきました。
いつも「これお嬢ちゃんに」と、たくさんのお菓子やお人形を持たせてくださり、TVでみる少し強面の影のある姿とは違う、やさしいおじさまでした。
ですから、水原さんの歌は、当時からほとんど聴いて知っていました。
「黄昏のビギン」はライブで唄い始めたのも早く、MIYAKOが一番たくさん唄っている曲となります。

私の中でこの曲は、特別な一曲なのですね。

レコーディングでのお話です。
連日のスタジオで少しナーバスになっていました。
普段できることもできなかったり、明らかに調子が狂っていたのです。
プロデューサーの榎本襄さんが早めの夕飯にしようと、みなでスタジオでカツ丼をいただきました。
少し、気持ちも落ち着いたときに「歌入れ、好きな歌にしようか」と言ってくださいました。
迷うことはありません。
「じゃ、黄昏のビギンでお願いします」

なんということでしょう。
それまでのスランプは消え、いきいきとしたMIYAKOが蘇りました。

このうた、原点に戻れるそんなパワーがあるのです。
ライブでも、この歌の順番になると、自然と笑顔になります。
会場の空気が晴れて行くような、チカラを持っています。

私にとって特別であるように、お客様からのリクエストも大変多く、いつまでも唄っていきたい宝物のような歌です。

EXCELLANDが2コーラス目のAメロディをユニゾンで唄っていますよ♪

最後に、ビギンってなに?と聞かれますが、黄昏に始まるという意味ではなく、リズムパターンのことです。
ビギンは 「ツチャーチャツチャツチャ」 と流れるように非常に軽ろやかなノリです。
この曲のフレーズとフレーズの間を良く聴いていただくと、聴こえてくると思います。
探してみてくださいね。

 

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ヴォカルグループ・エクセランド

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