酒場にて
作詞:山上路夫/作曲:鈴木邦彦/1974(昭和49年)
編曲:藤田哲也
MIYAKOが子供の頃から大好きだった歌の3曲に入る歌です。
その3曲中1位の曲です。
アルバム「白い花の咲くころ」に絶対に入れたいと思っていました。
オトナになって大好きな曲は他にもたくさんありますが、この曲は年季が違います(笑。
私が子供の頃は、芸能界の諸先輩方が父のレッスンを受けに我家のサロンに通われていましたが、あの頃、本当に大勢の方が、この曲をレッスン曲として歌われていました。「星の流れ」に同様、歌詞の意味など分からずでしたが、子供心にNo.1だったのです。不思議ですね。
この曲を江利チエミさんの人生とオーバーラップさせる方が多いのもうなずけます。
少なからず自分の人生・恋愛において絶望感や喪失感を感じたことは誰にでもあると思います。
私も経験があります。ですから、サビのところになると、どうしてもその頃の気持ちが蘇り、こみ上げてしまいます。
まるで人生の幕が閉じて行くようで怖くてたまらない、なのにどこか他人事のような、そんなおかしな感覚が繰り返される日々。本当に心が帰る場所を失うことが、本当の意味で帰る場所がないというのだと知ったこと。
歌手が歌いながら泣くなんてもってのほかですが、いろいろな気持ちがこみあげてきて、それをグッと堪えて唄うのです。
これは、自然の感情なのです。
感情をこめて唄うということとは真逆のところにあるものです。
ですから、オトナになって改めてこの歌を唄った時は、子供の頃は知らなかったきもちが、リアルに迫って来て、この曲は自分の歌なのではないかと思えるほどでした。
さて、江利チエミさんのご活躍は、もうみなさまも十分にご存知であると思います。
私は遠い記憶の中で、江利チエミさんがサザエさんを演じていらしたのをTVを観たのを覚えています。
JAZZを歌われていたことは、ずいぶん後に知りました。
「サザエさん」・「JAZZ」・「酒場にて」の3点が線になったのはもう少し後です。
後に江利チエミさんのJAZZの歌を聴いた時の衝撃は、言葉に言い表せません。
こんなうまい人が日本にいたんだ!
とにかくSWING感、リズム感がずば抜けてすばらしく身震いがしました。
当時、日本人でアメリカ人と対等にJAZZを歌っていたとは、本当にスゴいことです。
真似をしても出来ないことです。天性の才能を持った歌姫であられたのでしょう。
そして、いまMIYAKOがもっとも尊敬する日本の歌手は?と聞かれたら、迷わず、江利チエミさんと言います。
好きな歌手は?と聞かれたら、やはり江利チエミさんです。
他の曲のライナーノーツとはちょっと違った視点で書いてしまいましたが、MIYAKOが大切にしている曲「酒場にて」のエピソードです。
さて、レコーディングのお話をしなくてはいけませんね。
この曲、ベーシストの藤田哲也さんがイントロからアレンジしてくださいました。
ベースソロで始まる楽曲なんて、あまりないのでは?と思いますが、MIYAKO スペシャルです。
格好いい曲に仕上げてくださいました。
ちなみにプロデューサーの襄さんが、「これも僕が個人的に好きなMIYAKOのカヴァー1,2番に入るね」と仰ってくださいました。
ワオ〜♡