蘇州夜曲
作詞:西條八十/作曲:服部良一/1940年(昭和15年)
編曲:小泉宏
李香蘭主演の映画「支那の夜」で主人公が劇中歌として唄う為に作られた曲です。
上海を舞台にラブロマンスが繰り広げられるこの映画は、日本で大ヒット後、中国、台湾、朝鮮、香港、ベトナム、タイ、フィリピン、ビルマ、インドネシアなど、日本の占領下にあった国々でも公開されて人気を博し、アジアの国々にまで歌い継がれていきました。
『中国の風土を思い起こさせるメロディー、日本人の情感、そして西洋クラシックとアメリカのジャズが絶妙に溶け合った甘く美しい調べ』と言われているように、国境を越えて愛される永遠のスタンダードです。多くの諸先輩方がカヴァーされているのです。
さて、レコーディングのお話をいたしましょう。
この曲は、 19曲すべてのレコーディングが終わり最終日、マスタリングをして戴いているときに、プロデューサーにお願いしてもう一度唄わせていただきました。
”私が唄いたかったのはこれじゃない!と、いまお願いしなければ後悔してしまう”。
時計を見たら真夜中の2時を回っていました。
だけど、一回だけ唄わせて欲しいのですとお願いし、片付けられたマイクをもう一度セットしていただき、ブースに入りました。
ちょっと眠かった時間を過ぎて、覚醒し始めていたのかもしれませんが(笑)、真夜中にも関わらず、声が出る出る〜〜!
結局、テイク1でOK!
スタジオの皆さまに大きな拍手をいただき、安堵した事を覚えています。
蘇州には行った事がありませんが、映画や絵画でその美しき風景を幾度も目にしていましたので、この歌をレコーディングする時は、歌の中の主人公、いえ、もしかしたら私自身が「支那の夜」の主人公・李香蘭になっていたのかもしれません。
当初のアレンジは、小泉先生のピアノ一本で美しく奏でられています。
そして、ヴィブラフォンの音色をさして、川のせせらき、水紋やしずくのようなイメージを出していただきました。
ヴォーカルとピアノ、ときどきヴォイブラフォン。
あまりにも静か過ぎて、よく聴いて頂くと、ヴィブラフォンのファンの音が、奥の方で聴こえます。
生演奏ならではの面白さです。
この曲も3コーラスまでありますが、2コーラス目はEXCELLANDのみんなが爽やかに唄ってくれています。