「美しい日本語で唄う」
これは、MIYAKOがメジャーデビューしたときのキャッチフレーズです。
「歌手」「ヴォイストレーナー®」であり、「声学家®」でもある私が、
歌を唄うとき、とても大切にしていることは、
「美しい日本語で」
「心をこめて」
「丁寧にうたう」
ということです。
自己満足ではなく、「聴き手」が「イメージ」湧くよう努めているのです。
誤解しないでいただきたいのですが、決して私の「想い」「感情」「表現」
をむき出しにしているのではありません。
ただただ、その歌に向き合い、歌とリスナーとを繋ぐ者として、寄り添う、
それだけなのです。
今日のブログのタイトルにある「心に響く歌声を磨き育てる」について、
少し書いてみたいと思います。
朝の連続ドラマの主題歌がどんな内容の歌詞なのか、毎回3ヶ月ほど経って
やっと理解できるというのは、よく聞く笑い話です。
しかし、これは、実際に毎朝聴いているにも関わらず、楽曲のメッセージが
聴き手には届いていないということを表しています。
キャッチーなサビ、歌詞やメロディーを部分的に聴いてはいるけど、全体の
歌詞の内容、物語がわからないため、どんな歌なのか?輪郭は覚えていても、
幅広い世代の人々には印象に残らない。
つまり「リスナー」を意識していないのです。
メロディーは知っているけど、所々しか歌えない。
どんな歌だったっけ?
タイトルがわからない!
~そういうことが起こってきます。
歌を聴いているのに、歌詞を読むのが当たり前になってしまった現代。
カラオケでは、画面にひらがなで歌詞が表示され、音楽番組ではテロップが
流れるので、歌詞を聴いて想像することが省かれてしまう…。
つまり、、歌い手に感情など必要なくなってきているので、「ただのパフォ
ーマー」になってしまっているのです。
音楽業界全体も、今はそれが普通でリスナーも「楽曲とは
そういうもの」と、大して疑問にも、おかしいとも思って
いないことに、私はヴォイストレーナー®、声学家®︎とし
て、危機感を覚えるのです。
私のライブでは、カバー曲を多く歌いますが、お客様から頂く言葉があります。
「あの曲、好きなんです。MIYAKOさんに歌ってもらえて
うれしかったわ!でもね、あんないい歌詞だったのね!!
本当によかったわ。いい歌をありがとう!」。
これが、MIYAKOにとって、いちばんうれしいお褒めの言葉です。
そしてもうひとつ。
MIYAKOの歌に、なぜあんなに多くの方々が涙を流して
くださるのでしょう?
本当にありがたいことに、一度MIYAKOのライブにお運びくださったお客様
の多くが、次のライブに大切なご家族やお友達をお誘いくださいます。
『MIYAKOさんの歌声が、まるで天女のようだから、一緒に行きましょうと
誘われて、私もぜひ聴いてみたいと思って楽しみにして来たの。本当に天女
のささやきみたい。どこまでも透き通る素敵な歌声ですね!』
MIYAKOをご紹介してくださる多くの方が、そのように表現してくださるよ
うに「ヴォイストレーナー®/声学家®」として磨き育てあげたMIYAKOの
声は、「美しい日本語」をより引き立て、聴き手の心の奥深くに響いていく
からなのです。
それでは「声」を磨き育てるというのは、一体、どういう
ことでしょう?
発音がいいとか、滑舌がいいとか、それもヴォイストレーニング®/声学で
学ぶ、大切なことです。
でも「美しい日本語で唄う」というのは、それだけではないのです。
人は「カラダ」が「声」を奏でる楽器であると言われます。
人はそれぞれ、持っている楽器が違うのです。
「声」は体格、骨格などの「先天的」要素が2割で、あとの8割は「後天的」
要素、例えば生活環境、性格、心身の状態、姿勢などによります。
後天的ということは、トレーニングよって、いかようにも変えていくことが
できる・・・・・。
つまり「声」は磨き育てることができるということです。
どんな良い道具でも「正しいメンテナンス」を怠れば、直ぐにダメになります。
逆にメンテナンスを「正しく行なっていれば」、更に良い道具になります。
私たちは、知らず知らずのうちに「歌声」に心動かされることがあります。
「声」は声帯を振動させて発するもの、つまり「波動」です。
「声」は聴覚と脳の奥深くに届きますから、「波動」の良い「声」に対して、
リスナーは本能的に心地よさを感じ、心が動かされます。
高い音がよく出るとか、声が大きいとか、ビブラートがうまいとか、ミックス
ヴォイスが上手いとか、テクニックばかりで語られることではなく、私たちが
指導する「ヴォイストレーニング®/声楽」とは、「声」を磨くことで、音色
がよくなり、その結果、「響き」「共鳴」「良い波動」を伴う、説得力のある
「声」が育つのです。
磨かれた「声」で表現する歌。
つまり「リスナーの心に届く歌声」があってはじめて「美しい日本語」の表現
が生かされていくということなのです。
モノマネソックリに歌う事が上手〜という事ではありません。
そこに「歌い手」の「想い」「感情」「個性」が複合的に絡み合い「歌を”自分
の物“にする。」この事こそが重要なのです。
ですから、私はセッションや講義の前には、それぞれの受講生の「声」をカウ
ンセリングしています。
「声」に関わるすべての方々に「それぞれに合った正しい方法」を提供するの
が使命と考えています。
『「声」第一主義』
ヴォイストレーナー®/声学家®としての指導において、何十年もの間変わらず、
このことを大切に掲げています。
余談ですが、「ヴォイストレーナー®/声学家®とはどういうオシゴトですか?」
と聞かれて父が、「声の調教師です」と答えていたのを思い出します。
そして今もなお、「声」のマイスター、「声」づくりの職人として、多くの「声」
に向き合い、磨き育てています。
また、「声」は最大の武器であり、「歌」に留まらず、「声」を職業とする方々、
例えば、講師や学校の先生、CAさん、アナウンサー、オペレーター、デパート
の店員さんや受付、営業マン…沢山いらっしゃいます。
声学家®として、そのような方々にもこれから門戸を広く開いていくつもりです。