夜の桜並木


あたたかいのは春のせいだけじゃなかった。
あの人の背中を見ながら、夜の桜並木の下を歩いていた。

言葉は少ない。
張り裂けそうな想いが伝わって来る。
悲しみを言葉にしたら崩れてしまうんだろう。

だけど、このシアワセで、怪しいほど美しい夜桜を見るだけのために、
遠回りしてくれている。
あの人はそういう人だ。

あたたかい人。

誰よりも強くて
誰よりも儚い
誰よりも人を想いやり
誰よりもまっすぐで
誰よりも受け止めてくれる

誰よりも辛いのに

 

あの人の胸で泣いたことがあった
何も言わず抱きしめてくれて
母のようにずっと、背中をさすってくれた

思い出しただけでまた泣いてしまいそうだ
どれだけ支えてもらっているのだろう

 

 

今でも私はずっと、あのぬくもりに抱かれている
今日も
明日も
ずっと、ずっと
忘れない

そして今日もあなたに会いにいく
明日もあなたに会いに行く

これからもずっと.....

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